小説総合点ランキング: 116位/2,373作品中 (総合点17.99/偏差値57.90) 115位 <= =>117位
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読み仮名: はくちょういでん / 英語タイトル: Hakucyou Iden
2006/11/28 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by アマンドの木 評価履歴[良い:249(77%) 普通:69(21%) 悪い:5(2%)] / プロバイダー: 17574 ホスト:17513 ブラウザー: 3646
自分の持っていたのは黒い表紙だったのに、数年後に見たら白い表紙になっていたのに驚いた。内容とは全然関係ない事ですけど。
前作は神代、今作は古代日本がモチーフです。元ネタは題名を見れば分かる通りにヤマトタケルノミコトのお話。元ネタの方はそれほど関係があるわけではないのですが。
前作では半分神様見たいな人が普通に歩いていた世界ですが、時代が下ってそういう人はいなくなります(作品間の関係性も非常に上手いと思う)。そして、その神様の時代の力を伝える勾玉を巡って物語が動き始めます。前作同様に、話の骨子は非常にスタンダードなもの。
しかしスタンダードだからこそ、細部の描写(舞台となる世界の描写にせよ、登場人物の心の機微にせよ)は非常にしっかりしている。それでいて読みやすさは損なわれていません。むしろそういった描写がしっかりしているからこそ、スタンダードな「少女の成長譚」が心地良い物語として本の中に広がっているのかもしれない。
好きだったのは大うす(字が出せない・・・)皇子と明姫。恋とか愛とかを自覚できない年齢のヒーロー(主人公が女の子のなので、その相手役はヒーローですよね)にとっては、一種の不条理として立ちはだかったのだろうな・・・
そしてこの作品にもモチーフとなった世界から取り入れた、暗い設定が後半になって顔を出す。インセストタブーがこの物語の背景に横たわっています。そういった生々しさが、嫌悪感を引き出す一歩手前まで描写されているため、物語全体に暗さや重みだけが残る。
だからこそ、主人公のスタンダードな恋物語の美しさが祝福に値するものとして、さらに浮かび上がる。
前作もそうだったのですが、今作も終盤のクライマックスの前後がやや駆け足な雰囲気。その部分だけ見たら、十分に上手いと思うのですが、それまでがそれ以上に上手いので、何となくトーンダウンな感じを受けないでもない。大団円なラストで美しいのですけど。
個人的な趣味好みでは前作の方が好きなのだが、出来としては間違いなくこちらの方が上。何度読んでも面白いし、ふと読みたくなる事がある。児童文学という枠ではあまりにももったいない、上質のファンタジー。
「とても」は当然の作品だと思います。
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