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機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ


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読み仮名: きどうせんしがんだむせんこうのはさうぇい / 英語タイトル: Mobile suit gundam senkou no Hasaway

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2007/05/05 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by スペ9 評価履歴[良い:539(73%) 普通:103(14%) 悪い:98(13%)] / プロバイダー: 19247 ホスト:19024 ブラウザー: 5623
痛みを伴う作品だ。富野氏の小説は初代ガンダムとイデオンを当時読んで以来、記憶していたほど
読み難くない。ただし文体は独特で、時々「あれ ? 」と読み返す事はあった。もはやこれは富野
氏の芸風と好意的に解釈すべきだろう。そう思えば数々の氏のアニメ作品の会話・ナレーションまんま
で、特に「ゼータ(TV)」や「逆シャア」の雰囲気に似ている。氏の作品の真骨頂はやはりこの
「トミノコトバ」の応酬で繰り広げられる人と人の思惑のぶつかり合いであり、それをたっぷりと
堪能できる。上中下の全三巻だが一冊あたりが薄く会話も多いので実質上下二巻くらいのマスで、
初代ガンダムの小説版よりよほど気楽に読むことが出来る。以下、若干のネタバレがありますので、
これから読む方はご注意下さい。あと、本作の女性キャラたちは相変わらず富野氏のバイアスのか
かった造詣・役回りになっているので、そのあたり我慢ならん方は要注意。

内容は紛れもなく「富野ガンダム」だが、一連の映像作品とは少し趣が違う。「富野ガンダム」諸作
はいずれも「人の革新のターニングポイントとそれに翻弄される個々人」を描いてきたわけだが、本
作は「人の革新」の一通過点に過ぎない。ハサウェイの行動はシャアの思想を受け継ぐ物だがニュー
タイプとしての「人と人の解りあい」に根ざしていないし、ニュータイプとしての葛藤もない。乱暴
に括れば「宇宙世紀の小事」でしかないのだ。それなのに本作のあのラストだ。『やりきれない』。

なにがやりきれないって、ハサウェイの正体がマスコミ、ブライトに露見する理由だ。超やり手のケネス
が作品中唯一弱音を出してしまった言葉によって、と言うこと。さらにケネスの、せめてもの腐心で、
ブライトに知らせずにハサウェイの処刑を行った後なのに。ハサウェイを自らの手にかける事の心の
痛みに追い討ちをかける残酷な結末 ! このくだりは、読みながら「ブライトにばれませんように」
→「あぁ良かった」とこちらも一喜一憂していたのでかなりダメージを受けた。

これが人の世の残酷さなんだろう。富野氏はロボットアニメ作家として絶望しながら、でもその枠の中で
精一杯抗ってザンボットやダイターン、ガンダム、イデオンを造ってきた。それらはどれも「生の痛み」
というメッセージを伴って我々に訴えてきた。
だがどうだろう。世にはいまだに、いわば「能天気な」(ロボット)アニメばかりが氾濫している。私
もそれらの作品が少なからず好きだし、富野作品みたいな「痛さのある」作品ばっかりじゃ滅入っち
ゃう。だけど「生の痛み」を忘れて面白おかしくすごしているのもどうか。

富野氏はあえて、小事でありながら残酷なストーリーを選んだんではないか。そう思えてならない。

その後に人生に一生の傷を負って、隠れて生きていくギギ、特にケネスに、明るいエピソードがあることを
祈らずにいられない。

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