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すべてがFになる


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読み仮名: すべてがえふになる / 英語タイトル: THE PERFECT INSIDER
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2006/11/12 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by afterglow 評価履歴[良い:83(72%) 普通:5(4%) 悪い:27(23%)] / プロバイダー: 30606 ホスト:30431 ブラウザー: 3846
理系ミステリィ作家、森博嗣の世界に引き込まれるきっかけになった本作。
(というか、おそらく森にどっぷり浸かってる方の99%がこの作品を読んだためでしょうが)
ストーリーに感動したというよりも、作品そのものに感動した、という気持ちが強いです。
というか、それしかないかも(笑)
ああ、こんな描き方もあるんだって言う感じ。滅茶苦茶唸らされました。
中学か高校くらいの時から、近所に住んでいる友達の兄貴に勧められていたのですが
何でそのときにこの本を読まなかったのだろう、と正直後悔しました。

この作品もそうですが、S&Mシリーズは総じて天才と天然の大安売りなシリーズです。
それだけ天才が出現しても全く嫌みがないと言いますか、至極自然に読めてしまうのが不思議な所。
というか、正確に言うと「そうなってしまった、そうならされてしまった」んですけどね。
それほど、各々のキャラクターの個性が強く、魅力を感じてしまうのと
その独特のキャラクターの織りなすストーリー、トリック共に単純ながらも奇想天外な物が多く
(後半は若干「冷たい密室と博士達」と同系統の流れ方をした感じもしますが)
すごく稚拙な言い方ですが「わくわくしながら読み進められる」んです。

シリーズ第一作である本作はそれが最も如実に出た作品でした。
シリーズの方向性を定義する重要な導入であると同時に以後、発売される各シリーズの定義付け、
そして、最重要人物真賀田四季の定義付けとなるわけなのですが、もうなんといいますか、
その後に控えるくせ者軍団をきっちりまとめてしまうほどのくせ者隊長な作品です。

題名の「F」が奇妙な響きを奏でていますが、作中ではそれがどんどん大きな反響音としてとらえられ
事件状況やキャラクター感情と混ざって、全体的に不思議な感覚として広がっていきます。
知識や知恵、予想と言ったものの軽く斜め上をいく会話や論理に少々置いていかれながらも
「ほぉ」、「へぇ」と感心の中にちょっと呆れの混ざった溜息をはいてしまいました。
時間展開も早く、また、先述した奇妙さが全コンピュータ制御の研究所というクローズドサークルに渦巻く
という舞台背景も重なって、非常にスリリングなストーリーに仕上がってます。

ただ。この作品に置ける天才の扱われ方にはちょっと疑問が。
天才の考える事は常人の考えのおよびつかない所にある、という所までは納得できるのですが
それを免罪符に事件を組み立てるのって、一体どうなんだろう。
動機が理解できない、過程が理解できないというのを
「それは犯人が天才だからだ」の一言で締められてしまうと、正直微妙。

まぁ、そんな疑問を内包しながらもどっぷり浸かってしまった森ミステリィワールドなんですけどね(笑)

昔の自分の平常の性格から考えると、本来なら受け入れられなさそうなこの作品。
しかし、この作品のおかげで、新たな引き出しを作る事ができました。

基準評価は「とても良い」
総評の方では、前述の天才云々の話で減点があるものの、
新境地を開いてくれたというその衝撃の部分が加点されて、
総評は「とても良い」のままです。

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