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読み仮名: ふうもん / 英語タイトル: Wind Ripple
2008/04/12 とても良い [編集・削除/削除・改善提案/論客限定表示/]
by カジマさん 評価履歴[良い:567(81%) 普通:76(11%) 悪い:59(8%)] / プロバイダー: 25149 ホスト:25321 ブラウザー: 7013
被害者と加害者の家族の両方の視点に焦点を当てて、それを取り巻く、警察や報道関係の人間を交えての日々の苦悩や葛藤を描いた作品。ある1つの事件によって劇的に日常が変わってしまった人間の心理描写については凄まじく、生々しい感情の吐露というのが躊躇なく書き出されている点で、読んでいて心が抉られるような感覚を時々覚えました。事件の謎解き要素に関してはほとんど重視せず、あくまで人間に主眼を置いて書かれている作品ですね。
元々被害者の家族は順風満帆といえる家庭を築いてはいなく、事件をきっかけに少しずつですが、家族としての再生を求めていくという姿が描かれています。一方加害者の家族は事件をきっかけに平穏な日常が崩壊を始めていきます。この対比の仕方が秀逸。
どちらも「どうして私がこんな目に、私は悪くないのに」という感情を持ったまま、生活を送っているので、どちらかに共感できるということがまずなく、あくまで両者に対して一歩引いた目線で見れるのが特徴でしょうか。また被害者と加害者側の直接的な接点を最後まで持たせずに、最終章でようやく邂逅を果たさせるという構成は素晴らしいと思いました。これでラストシーンの印象はより強まったといえるでしょう。
読んでいて非常に重々しい気持ちにはなりますが、下手に展開を壊すことをせずに、救いの手を差し伸べることが遂にはなかったのが、好感が持てる点です。ただ後半の法廷がメインになってからは法廷のスケジュールのせいもあるのですが、変に時間軸が飛び飛びになってしまっており、ややその辺りで不満を覚えました。他にも加害者側の視点で結論を先送りにしたような感じも受けたのですが、どうやら続編があるようなので、そちらに書かれているのでしょう。そう考えると、やはりこれは被害者の、真裕子の話であるように思います。
前述した通り、謎解きやメインになりがちな、加害者と警察の攻防ではなく、あくまで普段脇役になりがちな、その家族や関係者をメインとした発想は面白いです。終始ネガティブ〜な展開が続くので、これから読む人はそれを承知した上で読むといいかも。
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